2015.02.27

走作楽天 ~ライフワーク:「安達太良山で元気になろう!」プロジェクト~

渡邊 千春

走作楽天 ~ライフワーク:「安達太良山で元気になろう!」プロジェクト~ 

 チャプター1 ~InclusiveとGrassroots~

 私は福島県の二本松市出身です。不幸な震災、原発事故、風評被害。福島第一原発に近い浪江町から避難して二本松の仮設住宅に暮らす方々の大変さには比べるまでもないですが、二本松も確実に震災以来元気を失っていました。以前にもこのエッセイで紹介しましたが、自分を表現するためにこのエッセイの為に作った造語の「走作楽天」ですが、「走作」とは「守るべき規則に外れる。型破り。」、楽天とは「天命を楽しむ。」という意味です。時間がないから、自分1人の力ではどうしようもないからとは考えずに何か故郷の力になりたい。それは震災以来ずっと考えていたことです。これまでも100マイルのウルトラトレイルレースに出場する際に、同僚や顧客等から自分の完走を賭けて寄付金を集め、震災からの復興のためのチャリティに募金することをしてきましたが、やはりこの甚大な被害をもたらした震災からの復興は10年、20年という長い時間をかけずに成し遂げることが出来るものではありません。私はライフワークとして何か復興の役に立ちたいと考えていました。

 

 2013年の初め、どういう風の吹きまわしか日本を代表するトレイルランナーの山田琢也さんに、自身がプロデュースする戸隠マウンテントレイルに招待選手として出場しないかと声をかけていただきました。このレースも含めて信越地区でレースを年間数レースを運営する北信濃トレイルフリークス(以下KTF)さんの関係するレースにはそれ以来、5度参加させて頂きました。正直、彼らの運営しているレースにとても魅力を感じています。その理由は、コースの素晴らしさやトップアスリートが多く参加しているからだけではないと感じています(スキーが盛んな地域でもあるので、地元のアスリートの実力が非常に高く、ついでに子供のランナーのレベルも非常に高いです)。KTFさんの運営するレースには、「地元以外からもスタッフが数多く参加していること(Inclusive)」と、中心になっているKTFさんが「地元に根差したグループ(Grassroots)」だという2つの特徴があります。KTFさんは、私のライフワークのヒントを与えてくれました。

 

 2014年の初夏のことでした。運よく、二本松にある安達太良山のふもとの岳温泉の観光協会さんからトレイルランニングのセミナーをしないかとお話を頂きました。頻度は1か月に1度。こんなことでも無ければ田舎にはせいぜい半年に1度帰る程度でしたが、思い切って毎月のセミナーに行くことにしました。自分が東京に住んでいる間に、このようなセミナーをやることで県内外の広い地域から人を引き寄せる「Inclusive」で、地元に根差した「Grassroots」な活動の種を蒔きたいと思っています。セミナーの内容はトレイルランニングに限らず、地図読みとロゲイニング、スノーシュー等、毎回同じ参加者でも楽しめるメニューにすることには一番腐心してきました。第1回目は、中高の同級生や娘の幼馴染にまで参加してもらいましたが、おかげさまで2回に1度はこの山域ではあり得ないような天候に恵まれ(11月に大雪に見舞われるという負の意味でのあり得ない天候も含めてですが・・)、東京方面や東北の他県からも多くの方に参加をしていただきこれまで続けることが出来ています。

 

 チャプター2 ~あり得ない天気~

 2014年10月11日のトレイルランニングセミナーは安達太良山で私がもっとも好きな塩沢口からくろがね小屋までのコースでした。最もポピュラーな奥岳口が紅葉ハンターでごった返すだろうという予想もあってのコース選択でした。当日は雲1つない晴天に恵まれました。写真は好天がもった翌日のものですが、改めて故郷の山の美しさに引き込まれました。因みに足元はVasqueの「VASQUE バスク シェイプシフターウルトラ」。この2週間後の「Grand Raid Reunion(173㎞)」でも私はこのシューズを着用しました。トップはibexの薄いベースレイヤー。色が紅葉にマッチしていませんか?残念なことにこの色は英語で「Red Hop」だそうです。「Koyo」か「Adatara Autumn Leave」に名前変えませんか?ibexさん??

 

 2015年2月21日は、スノーシューで表登山口から仙女平まで約7㎞の往復です。この1週間後にカナリア諸島で行われる「Transgrancanaria(125㎞)」に参加する私にとっては最終調整も兼ねてのセミナーでした。県外からの参加者のみ10名で最も若い参加者が15歳、上は??歳という、いるだけで楽しくなるチームでした。この日は快晴なだけでなく、全くの無風。岳温泉観光協会の方も一冬に片手ほどの日数しかないというほどの好天でした。表登山口は、なだらかな登りでスノーシュー向きです。もちろん吹き溜まり、雪崩の危険個所などもありません。この季節にはあまり入山者がいないので、数日前の降雪が踏み跡を残さず残っていました。堅苦しいことを抜きに「安達太良山で元気になろう!」がこのセミナーの一番大事なテーマなので、私が率先して楽しませて頂きました。折り返し地点の仙女平で私の誕生日のお祝いのサプライズまで・・・。私、皆さんの分の参加費を負担しないといけないですね?この時の足元はVasqueの「アローヘッドウルトラドライ」。これにゲーターをすれば本当に快適にスノーシューを楽しめます。ハイカットですがダウンヒルを駆け下りるときに全く気になりません。トップはまたしてもibexのベースレイヤー。厚手のモデルでしたが、全行程1枚のみで何も羽織る必要なしでした。

 

 チャプター3 ~next stage~

 今年も、毎月「安達太良山で元気になろう」は続けます。告知は、岳温泉観光協会のHomepageや私のFacebookのページなどで行っていきます。さらに、この活動を次のステージにドライブしたいと思っています。4月4日、5日には「Wool Running」と「Wool Fes」というイベントを岳温泉観光協会さんが主催されるのですが、私も微力ながらイベントのプロデュースで協力させていただいています。最大30分制限の予選、決勝戦勝ち抜けの雪上ロゲイニング。選手は、ロゲイニングの制限時間いっぱいのスリルを味わう事ができ、観客は選手がゲレンデ上のポイントをそれぞれの戦略で右往左往するのを見ることができます。そして、ロゲイニングではほぼ負けなしの柳下大選手や私のライフワークのきっかけをくれた山田琢也選手も参加予定です。その他「私はなぜ強いのか?」という直球のテーマで様々な意味で強いアスリートが語り合うパネルディスカッション、月間の走行距離200㎞で170㎞を超える山岳マラソンをそこそこの上位で走り切る私の秘密も公開します。「人間は二本足の動物ですよね?」から説明が始まりますが、原理はいたって簡単です。その他ウール博士やヨガのコーナーもあります。会場にはibexを始めとするメリノウールのブランドのブースが並びます。世界でここでしか見られないことを請け負います!メリノウールの製品やその他のアウトドア製品の販売もあります。なぜメリノウールなのかという皆さんの疑問にお答えします。それは、私が愛してやまない素材だからです。メリノウールの着心地を知ってから化繊や他の素材のシャツを休日に着ることが激減しました(これまで来ていた化繊のウエアは同じ背格好になった息子に譲ることができたというラッキーもありましたが・・。因みに、息子は安達太良山から取った太良と言います)。「Adatara Autumn Leave」のように発色も抜群で、防臭・防寒性にも優れています。良いものに目を向けて欲しいという意味では、自然のサイクルにやさしい素材であるといことも重要な点の1つです。英語では「Biodegradable」と言いますが、微生物の力で簡単に土に還元されます。

 

 ライフワークの次のステージのイメージもあります。「Inclusive」で「Grassroots」な他の団体とのネットワーキング、そして時間がかかるかもしれませんが本当の意味で日本の地方を元気にすることです。仕事も趣味も活用して、私のエネルギーはこのライフワークを次のステージに進めるために最大限使っていきたいと思っています。

レポーター紹介
 渡邊 千春
渡邊 千春

外資系企業で働きながらも、UTMBなど海外レースをはじめ数多くのトレイルレース、イベントで活躍中のビジネスマンランナー。親子でトレイルレースへの参加やアルプス山行などトレイルを楽しむ。