2015.03.23

OMM参戦記「1日目」

飯島 浩

UK発 「山の総合力」が試されるマウンテンレース

食指をそそられるキャッチコピーから始まるOMM JAPAN RACEhttp://theomm.jp/?page_id=1063(11月29.30日東伊豆町で開催)に参加してきた。
このOMM(Original Mountain Marathon)とはイギリスで1968年から続いている非常に歴史ある大会である。基本的に山岳地帯を使うレースであるが、同じ様な山岳フィールドを使うトレイルランニングとは違う幾つかの特徴がある。二人一組のチーム戦である事。全ての行動においてナビゲーションが必要な事。露営(キャンプ)も含んだレースである事。水も含み一切のエイドが無い事。事故、道迷いであっても自己の力で帰還する事。などが求められている。一般的な登山であれば当たり前の事も多いが、これまで多くのサポートを得たうえで走っていたトレイルランニングレースとは一線を画す内容である。どちらかというとキャンプを含んだオリエンテーリングレースと言った方がいいと思う。アジア圏初、国内初と言う事もあり、前評判は高くネットでの申し込みは数分で締め切ったとか?昨今レースに出ようと思ってもここでつまずく事も多いが、今回は何とかエントリーできた。このレースの特徴として二人組であると書いたが、この選択、マッチングは非常に重要である。速い人同士で組んでもナビゲーションで問題があればいい結果は出ないし、山での生活に長けた人同士であっても、スピードが伴わなければこれも結果が出ない。そして何より大事なのが目的意識の共有。目標と言った方がいいのかな?これが食い違っているとうまくいかない。つまりは順位重視の人と楽しむ事重視の人では、途中途中の行動がまるで違ってきてしまう。例えば景色のいい所で写真撮ろうか?と思っても順位を求める人ならば「そんなのいいから早く行こう」となるし、必至の形相で走る所に「楽しさ」を見いだせない人かもしれない。その落とし所はどこでもいいけど、スタートまでにきっちりとその辺りを話しておかないといけない。今回もどこかのチームは大げんかしていたらしいが・・・遊びに来てそんな不幸な事は無い。
意識の持ちようによって、そこはいか様にでもなるのだから・・・

私は10年以上前からTJAR(Trans Japan Alps Race)と言う山岳レースに関わっており、そのレースも正に山の総合力が問われるレース。食べて動いて寝ての繰り返し。基本的にこういう旅的な要素を含んだレースが好きなのである。山の総合力が必要なレースと言われれば・・・そう。出ずにはいられない。そんな事で組んだバディは松浦選手。彼とはTJAR2012以来のお付き合いで、レース後半一緒になる事が多く、そのフィジカルレベル、山での経験・知識に関して私と近いものを感じており、今回の申し出を快諾していただいた。

1日目

私達出場の「ストレート」はポイントオリエンテーリング形式。指定されたポストを順番通りにチェックしていく。ただし今回はある程度選手を散らすために6ヵ所のうち4ヵ所を回れば良いと言う選択形式が前半設定された。

スタートは1分おきで2チームごとに決められた時間にスタートする。
7:17スタート。ここで初めて地図を見る事ができる。最初のポイントをチェック。3~400m先の道路上にある。その間にコース図全体を俯瞰。スタート地点が標高で一番下の方になり前半登り基調。天城山脈より下り基調でゴール。天城山を含んでいない事と意外とコンパクトなエリアと感じた。このスタートエリアの細野高原は初めて来たが、三筋山の方までススキで覆われた独特の景観は本場イギリスの草原を連想させた。


天気は夜半から断続的に激しい雨が降り続き、厳しい展開が予想された。やがて林の中に入っていくのだがここで問題発生。雨天である事、林の中という事で非常に暗い。そして地図のコントラストが低いためコンタ(等高線)が読めない。加えて地図には水滴・・・つまり地図が読めない!!本気でライトを出さなければ!と思ったほど。どのポイントも道路から近くそれ程難しい設定とは思わなかったが、こういった地形図を読む事、コンパスを使った整置を知らない人だとかなり厳しいのではないか?最低でもロゲインの経験は無いと難しいと思う。実際に何でも無い所で地図に見入る人、とんでもない所で右往左往する人がちらほら?この選択ポイントでの正解(一番好ましいと思われるポスト選択)はほぼ共通と思われるが、そのアプローチに差がありそこで数分ずつのロスが出てくる。まだまだ検討の余地があると感じた。
今回補給食は動きながらでも食べられる物として、チョコ、羊羹、クリフブロック、クリフバーを選んだ。どれも食べやすさが大事。クリフブロックは固めのゼリーで潤いがあって食べやすい。ここも間違うと行動不能になったり時間のロスになる。歩きの時に食べる事とした。
林道を詰めて天城山脈稜線に近づくと風も強くなってきた。ウエアリングがしっかりしていないと厳しくて精神的にもかなり滅入るかも?この辺りの有人ポイントで通過順を聞くとこれまで3チーム通過しただけとか?時間差でスタートしているのでこれだけで位置関係は全く分からないがまあ遅くは無いのかな?あとスタッフにも知り合いが多かった。こういうイベントはスタッフの基本スキルがしっかりしていないと務まらない。仲間に感謝!
中盤以降ナビゲーション性は薄くほぼ走力重視の設定。しかし何でも無い所で幾つかのミスを犯す。
別荘地内はトラップな設定とみた。地図に明らかな間違いがあって表示すべき道が記載されていなかった。単に整置すれば間違いにすぐ気付いたはずだが?結構下ってしまった。
当然コース設定者はこの間違いに気づいていたはずだが、あえて直さなかった。選手に知らされている情報はこの地図一枚だけ!と共通なのでこの限られた情報から間違いを察知し、速やかに正しい道を探し出す訳で・・・
「私達は試されている!」
結構この別荘地内で迷った人は多いのではないだろうか?私達もまさか舗装路で迷うとは?慢心があったのだろうか?コース設定者にやられた!
天気は相変わらずだが13時頃からだろうか?晴れ間が見えてきた。最後の浅間山への厳しい登りをこなせばゴールはもうすぐ。
最後のロードがきつかったが心地よい日差しを受けながらゴール。6:58:00 暫定で総合8位 走行距離40Km 累積標高差2160m
あれだけミスを冒してこの順位なら満足すべきなのか?一つ順位上げるにしても7位とのタイム差は30分。うん~明日はどうなるのか?

キャンプ

実はこのキャンプもすごく楽しみにしていた部分でもある。一つの目的の基に数百人が集ってのキャンプは中々無い。チームによって違うが速いチームだと19時間以上ものキャンプ(停滞)が課せられる。この時間をどう過ごすのか?考え方とそれに備えた装備に大きく差が出る所であった。今回は何とか雨の中でのキャンプは避けられたがもし降られたら?全く違う様相になったと思われる。
指定のキャンプサイトは野球場であった。雨が上がってすぐなのでまだ水たまりがあるが芝生である事が嬉しい。今回私達はダブルウォールの3人用テントを選択した。軽量化を優先するならばツエルトという選択もあったが、あの狭さ、結露の不快さは十分すぎる事理解している。このレースはそこを我慢するほどストイックに行かないよね?という事で話はまとまった。一人当たりで850g程度になる。実際ツエルト(一人一張り)でもポール等全てまとめれば500g程度にはなり、その差350gそれで完璧な雨対策、十分な空間が得られるならばこの重量差は十分許容できる。
着ていたものはほぼ全て濡れておりすぐにでも着替えたかったが、夕暮れも迫り日差しが届くのももう僅かな時間。多くの人はフェンスに干していたが日差しを受けない限り乾く事は無い。この環境で服を乾かすには着たまま乾かすしか無い。つまり「着干し」
上にインシュレーション系ウエアを着れば確実に乾く。しばしの我慢・・・
一息ついてキャンプ地をぐるっと一周歩いてみたが色々なスタイルがある。これはかなり面白い。
長いキャンプ生活を過ごすにはやっぱりお酒は必要。勝負にこだわればまずここは削るべき所だが、アルコール無しのキャンプは考えられない。チームとしてもここはお任せという事で私はバーボン180ml他チームとの交流(宴会)の中で全て飲み切ってしまった。一応明日もレースだが・・・

レポーター紹介
飯島 浩
飯島 浩

トレイルランナー
日本アルプスの麓、長野県をベースにトレイルランニングは勿論、MTBやテレマークスキーなどオールラウンドに山を楽しむ。